「具体と抽象」を読んで仕事で使えるか試した6ヶ月の話
この記事の結論
細谷功「具体と抽象」を読んで仕事にどう活かしたか正直に書く。抽象化思考が使えないと感じた人ほど、読後の変化が大きかった体験談。
「具体と抽象」を読んでも最初の1ヶ月、俺は仕事で何も変わらなかった。
正直に言う。読んだ直後は「なるほど」で終わった。でも6ヶ月後、気づいたら会議での発言の質が明らかに変わっていた。その話をする。
読もうと思ったきっかけ:「使えない」と言われた企画書
当時、俺は副業でコンテンツ企画の仕事を受けていた。本業は営業職で、企画書を書く機会がそんなになかった時期だ。
あるクライアントに企画書を出したら、こう返ってきた。
「具体的には何をするんですか?」
俺としては「ブランドの世界観を伝えるコンテンツ」と書いたつもりだった。でも相手には何も伝わっていなかった。
その話を副業仲間にしたら「細谷功の『具体と抽象』読んだ?」と言われた。読んでいなかった。Kindleで即買いして、その週末に読み終えた。
読後の感想は「へえ、面白い」だった。変化はゼロだった。
6ヶ月で気づいた3つの変化:本を閉じた後が本番だった
1. 「なぜ?」と「つまり?」を意識的に使うようになった
本の中で一番刺さったのが、具体と抽象を行き来する「梯子の上り下り」という概念だ。
要は、目の前の具体的な出来事を「なぜこれが起きているのか(抽象化)」と問い、逆に抽象的な話を「で、具体的には何をすればいい(具体化)」と落とし込む往復運動のこと。
これを読んで、俺はすぐ実践しようとした。できなかった。
意識しているつもりなのに、会議中は目の前の話に引っ張られる。気づいたら全員が「先週の数字」の話をしていて、「なんでその数字になったのか」は誰も話していない、みたいな状況に何度もいた。
変わったのは2ヶ月目以降だ。
メモを取るとき「なぜ?」「つまり?」を欄外に書く癖をつけた。会議中にリアルタイムで抽象化するのは無理でも、終わった後の整理で使えるとわかった。これをやり始めてから、次の会議での発言の精度が上がった。
2. 「抽象度の高い人」と「低い人」が見えるようになった
これは本に書いてあることそのままだが、実際に体験すると衝撃が大きかった。
本業の職場で、上司が「もっとお客さんのことを考えろ」と言うとき、抽象度が高すぎて現場の若手には何も伝わっていない。でも若手が「この案件のAさんが〜」と話すとき、上司には「で、そこから何が言える?」となる。
互いに「あいつは使えない」と思っているが、ズレているのは能力じゃなくて抽象度のレイヤーだ。
これがわかってから、俺は上司と話すときは意図的に1段階抽象度を上げ、後輩と話すときは1段階下げるようにした。コミュニケーションの摩擦が体感で30%くらい減った。
3. 企画書の構成が変わった
最初に書いた「ブランドの世界観を伝えるコンテンツ」の話に戻る。
今なら同じ企画をこう書く。
- 抽象層(目的):「ターゲットの購買前の不安を減らす」
- 中間層(方針):「比較・検討フェーズで読まれるコンテンツを作る」
- 具体層(施策):「競合3社との違いを整理したQ&A記事を月4本投稿する」
3段構成にするだけで、クライアントが「何をするか」も「なぜそれをするか」も一度に把握できる。この構成にしてから、企画書の戻しがほぼなくなった。
正直な注意点:読んだだけでは確実に使えない
「わかった気」になるのが最大のリスク
「具体と抽象」はサラッと読めてしまう。薄いし、図も多い。読後に「理解した」感が出てしまうのが罠だ。
俺が最初の1ヶ月で何も変わらなかったのは、「読んだ=できる」と思い込んでいたからだと思う。
本の内容を活かすには、自分の仕事の場面に当てはめる練習が必要だ。「この会議でどこが抽象で、どこが具体の話だったか」を振り返るだけでいい。それを2週間続けると、リアルタイムで気づける回数が増えてくる。
「抽象的すぎる」批判には気をつける
抽象化が面白くなってくると、会議で「つまりこういうことですよね?」と上位概念にまとめたくなる。これ、やりすぎると「で、何が言いたいの?」と言われる。
抽象化は内部処理のツールとして使い、アウトプットは具体に戻す。ここのバランスを意識するまでに、俺は3ヶ月かかった。
ビジネス書として比較すると:細谷功の他の本との違い
同じ著者の「アナロジー思考」と迷う人もいると思うが、最初に読むなら「具体と抽象」でいい。
「アナロジー思考」は応用編で、具体と抽象の往復ができている前提で読むと理解が深まる。順番は「具体と抽象」→「アナロジー思考」が正直おすすめだ。
読んでも最初は何も変わらないかもしれない。それは普通だ。変わるのは、日常に持ち込んでからだ。